この前コーヒーショップに入ったら、私の後に女の子が入ってきた。
むらの無い明るい髪を上げて、アイラインを濃く、ぐるりと引いて、
ぱきっとした色を着た、堂々とした印象の女の子。
その子は連れの女の子とふたりで、私の側のテーブルに就いた。
しかしよく喋る。少しハスキーで、はすっぱな感じのする物言い。
たくさん歩いて疲れていたし、
のども渇いていたので少し静かなところでゆっくりしたいと思っていた私には、
それが耳に障って仕方がない。
言わなくったってぜんぜんかまわないような
或るいは言ったって何もどうともならないような
そんな事ばかりしゃべってる。ひたすらに、うるさくてくだらない。
もしもわたしが男の子だったら
さっきにも増していたたまれない気分になっていたかもしれないけど
だけど、
聞いているうちに楽しくなってきちゃった。
女の子のおしゃべりって、おもしろい。
「したら夜12時ごろかなあ、そうゆっとけば電話とかしてこないと思ったんじゃない、
電話来て『今から俺、寝るから』って。あ、そうって、そんだけ。」
「あはは わかりやすーい」
「で帰ってきて、どーゆーことよって言ったら、『や違うんだって』って」
「いいわけ」
「いいわけ、アハハ…!」
「うーん、つまり、かっこよくてガタイもいいオトコってさ、たいてい器がちっちゃいよね!」
こんな燦々と照り輝くような女の子には。
わたしが男の子だったらぜったいに敵いっこない。